先日、話題の実写版『秒速5センチメートル』の初号試写が行われ、原作者である新海誠監督が試写後にコメントを公表しました。
そのコメントにあった『ドラマツルギー』とは何なのか?気になったので調べてみました。
新海誠監督が試写後に公表したコメント
篠原明里役は高畑充希に決定!『秒速5センチメートル』原作・新海誠も「作っておいてよかった」と絶賛|
( MOVIE WALKER PRESS https://press.moviewalker.jp/news/article/1283529/)
●新海誠(原作)
「映画を観始めて、最初はなんだか居心地が悪かったのです。不完全で未熟なバトンを若い作り手たちに渡してしまったような気持ちでした。しかし途中から映像に呑まれ始め、最後には自分でも驚いたことに、泣きながら観ていました。原作由来の要素に自分で泣いているのか、奥山組に泣かされているのか、あるいは失われた2000年代に泣いているのか自分でもよくわからないまま、でもとにかく、強く感動させられました。改めて、『秒速5センチメートル』は奇妙な物語です。大したドラマツルギーもなく、胸のすく活劇もなく、ヒーローも悪役もいない。みなが理由もなく傷つき、傷つけられ、いつもなにかが満たされずにいる。でも20年前は、その『なにもなさ』が私たち自身の姿であり生活であり、それを掬いあげるようなアニメーション映画を作ろうと思っていたのです。アニメーション版がその目標に届いていたかは心許ないのですが、今回の実写映画では当時のその不器用な種が、青さも含んだままに見事な結実となっていました。『秒速5センチメートル』を作っておいてよかったと、(ほとんど初めて)心から思えました。奥山組のみなさん、本当にありがとうございました」
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— 東宝映画情報【公式】 (@toho_movie) August 5, 2025
初号試写を鑑賞した
原作 #新海誠 コメント到着!
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🎬10月10日(金)公開#松村北斗(#SixTONES)主演
映画『#秒速5センチメートル』
映画を観始めて、最初はなんだか居心地が悪かったのです。
不完全で未熟なバトンを若い作り手たちに渡してしまったような気持ちでした。… pic.twitter.com/A7Dwd0ROBR
ドラマツルギーってなんやねん?
ドラマツルギー(ドイツ語:Dramaturgie、英語:dramaturgy)は、主に以下の2つの意味で使われる言葉です:
1. 演劇用語としてのドラマツルギー
- 作劇法・上演法:演劇作品の構成や演出に関する理論や技法
- 戯曲論・演劇論:演劇の理論全般を指す学問分野
2. 社会学用語としてのドラマツルギー
- 社会的相互作用の理論:日常生活における人々の行動を演劇のメタファーで分析する社会学的観察法
- アーヴィング・ゴッフマン(1922-1982)によって社会学に導入されました(参考:Wikipedia)
語源・由来
ドラマツルギーの語源は古代ギリシャ語にあります:
- ギリシャ語:dramaturgia(ドラマトゥルギア)
- 「脚本上演」を意味する言葉
- ギリシャ語の構成要素:
- drama(δρᾶμα):演じる、行為
- ergon(ἔργον):作業、仕事、行為
この古代ギリシャ語から、各国語に以下のように借用されました:
- ドイツ語:Dramaturgie
- 英語:dramaturgy
- 日本語:ドラマツルギー
社会学における意味の発展
ゴッフマンは1959年の著書『日常生活における自己呈示』(The Presentation of Self in Everyday Life)で、演劇の概念を社会学に応用しました。
この理論では:
- 人々は日常生活で役割を演じる俳優のように行動する
- 社会的場面を舞台として捉える
- 表舞台(パフォーマンスする場)と裏舞台(役柄から離れられる場)の区別
- 人々は時間・場所・オーディエンス(相手)に応じて異なる自己呈示を行う
このように、ドラマツルギーは古代ギリシャの演劇理論に由来する言葉が、現代では演劇学から社会学まで幅広い分野で使われる重要な概念となっています。
結論
なるほど、『ドラマツルギー』には、いろいろな意味があるようですが、今回の新海誠監督の場合は、「作劇法」、「映画の製作手法」という意味で使った言葉のようです。